3周年を迎えて−前編−

2月4日、Ayurveda salon jnanamは3周年を迎えることができました。

これまで支えてくださったお客様や家族、恩師、友人、そして出会ってくださったすべての方々に、心から感謝しています。いつも本当にありがとうございます。

立春の日に小さく始めたサロンが、気がつけば3年を迎えました。
うまくいかないことや戸惑う場面もたくさんありましたが、その都度自分なりに考えて、一歩ずつ進んできたように思います。
「正解」や「不正解」があるわけではなく、静かに時が流れて、気がつけば今がある──そんな感覚です。

今日は、これまでを振り返りながら、今の気持ちを少し言葉にしてみようと思い、ブログを書いています。

開業前 ホテルスパでの経験

サロンを始める前の私は、外資系のホテルスパでセラピストとして働いていました。
指名が多かったわけでもなく、売上成績が良かったわけでもなく、どちらかというと“目立たない存在”だったと思います。
クレームをいただいたことはないけれど、印象に残るようなお褒めのレビューもなく……。
経験も浅く、技術もまだまだ。人と話すことも得意ではなかったので、今振り返れば当然のことだったのかもしれません。

ホテルスパでは、受付スタッフがカウンセリングを行い、その内容をセラピストが引き継ぐスタイルでした。
施術前にお客様と深くお話をする機会はほとんどなく、触れてほしくない場所やお疲れの箇所を確認して、コースの流れを簡単に説明するだけ。
当時の私にとっては、それがちょうどよく感じられていたように思います。

1年目 失敗と学び

サロンをオープンしてすぐに、壁にぶつかりました。
アーユルヴェーダでは、生活習慣や食事のことなど、施術前にお聞きしたいことがたくさんあります。
でも、どうやって聞けばいいのか、どこまで聞いていいのかもわからず、とても戸惑いました。

最初の頃の私は、アーユルヴェーダの知識を一方的に話したり、
「コンビニ?カップラーメン?そんなの食べちゃダメですよ!」なんて、今思えば少し押しつけがましいことを言ってしまっていたかもしれません。
本当にその方のことを見ようとするより、話すことで精一杯になっていたのだと思います。

オープンから半年ほど経ったころ、アーユルヴェーダセラピスト向けのカウンセリング講座を受けました。
それをきっかけに、それまでのやり方を大きく見直しました。
体質チェックも、アーユルヴェーダのうんちくもやめて、
「今、目の前にいるこの方のために、何を聞くべきか」「何を感じ取るべきか」を大切にするようになりました。

トークが得意でない私は、つい話しすぎてしまう癖があります。
今でもそのクセと向き合いながら、必要なことを丁寧にお聞きし、施術内容やオイルを組み立てていくことを心がけています。
お身体に触れたとき、「このオイルで間違ってなかった」と感じられる瞬間がとても嬉しくて、少しずつ自信にもつながっています。

2年目 試行錯誤の日々

少しずつ、リピートしてくださるお客様が増えてきた2年目。
それに伴い、価格の見直しを行いました。
同時に、回数券や次回予約の特典もスタート。
さらに、初回限定のコースや、気軽にアーユルヴェーダを体験できるショートコースもご用意しました。

当時の私は、毎日のようにパソコンとスマホに向かいながら、インターネットやSNSで情報をリサーチし、
「お客様に喜んでもらえるには?」「選ばれるには?」を考え続けていました。
その結果、いろんな“お得なメニュー”がそろっていったのですが、
どこかで、「これは本当にわたしがやりたいこと?」という疑問が消えませんでした。

回数券を売りたい?
割引して次回予約してほしい?
ショートコース、本当にやりたかった?
そう自分に問いかけたとき、はっきりと「YES」とは言えませんでした。

そして、もし自分が“お客様”だったらどう感じるだろう?と、何度も考えました。
たとえお得でも、期限と回数に縛られて通えるかな?
割引のために予約を入れるだろうか?
月に一度の大切な時間、サクッと終わるショートコースで満足できるかな?
そうやって考えていくと、答えは人それぞれであると同時に、
「わたし自身がどうしたいか」という軸の大切さにも改めて気づかされました。

実際、回数券をご購入くださった方、次回予約を入れてくださった方、
そしてショートコースでご来店くださった新しいお客様……本当にありがたく、嬉しい出会いの連続でした。
でも、その反面で、なぜか心の奥には小さなもやもやが残っていました。
それはきっと、「自分が心から納得できていないことを、続けていたから」だったのかもしれません。

お客様にいただく金額以上の価値を届けること。
そのために、空間を整え、知識や技術を磨き、自分自身も整えてお迎えする。
そのすべてを真剣に、大切にしてきたからこそ、
“価格を下げる”ことが、自分自身への違和感として残っていたのだと思います。

後編は、トライアル&エラーの繰り返しだった2年目が終わり3年目へ入ります。